Overview

CAN データの解析から表示まで、1 台で完結

解析・表示・記録はすべて本体内で完結。回転数をひとつ確認するためにクラウドを往復する必要はありません。 モニターをつなげばそれがダッシュボード。遠隔が必要なときだけトンネルを有効にします。

27解析可能なパラメータ
3 sメーター更新周期
15 Mbpsカーネルモードトンネル実測値
1.3典型的な負荷平均(4 コア)
0クラウド依存

Applications

船舶・重機・農機 —— 5 つの現場、同じ 1 台

はじめの 3 シーンは同じ解析コアを使い、違うのは「どのバスにつなぐか」だけ。 プロトコルの切り替えはボタン 1 つで、メーターのレイアウトも自動的に変わります —— 現場の人が画面を設定する必要はありません。

船舶の航行モニタリング

NMEA 2000

船内の N2K 幹線に接続し、船速・船首方位・水深・主機回転数を 1 画面に集約。GPS は独立したシリアルポートを使うため、バス負荷の影響を受けません。

  • 対地速力(SOG)と対水速力、対地針路と船首方位(コンパス表示、真北をまたいでも連続)
  • 水深警報:設定値を下回るとメーター全体が赤くなり、ゆっくり脈動
  • 主機回転数、バッテリー電圧と充放電電流、緯度経度
  • Signal K へ転送すれば、スマホで本格的な航海計器と海図も
実測 10 項目 · SOG 4.47 kn · COG 47.97° · 水深 9.8 m
回転数 1150 rpm · バッテリー 12.4 V

重機・エンジンのモニタリング

J1939

ディーゼルエンジン、建設機械、発電機に共通する診断プロトコル。冷却水温、油圧、燃料、稼働時間を一度に取得でき、車両群管理と予防保全に適しています。

  • エンジン回転数、冷却水・燃料温度、過給圧(ブースト圧)
  • 油圧低下や水温上昇は即座に警告色へ切り替え
  • 燃料残量と瞬間燃費から、残り稼働時間を推定
  • エンジン積算稼働時間を保守スケジュールの根拠に
実測 11 項目 · 回転数 975 rpm · 水温 80 °C · 油圧 260 kPa
燃費 10.85 L/h · 稼働 1234.5 h · バッテリー 24.8 V

農機の作業モニタリング

J1939 / ISOBUS

トラクタのエンジン部分は重機とまったく同じで、そこに農作業ならではの項目が加わります。PTO 信号を検出すると自動で農機レイアウトに切り替わるため、手動選択は不要です。

  • PTO(動力取出軸)回転数と油温 —— 作業中の主役なので主メーターに設定
  • 車輪速度と対地速度を別々に計測 —— その差がスリップ
  • スリップ率:牽引力が土を掘るために失われる割合。15 % を超えると警告
  • エンジン稼働時間と燃費を、作業時間管理と合わせて把握
実測 15 項目 · PTO 828 rpm · スリップ 1.13 %
車輪速 8.86 / 対地速 8.76 km/h · 稼働 1234.5 h

ネットワーク出口ノード

VPN / 難読化

通信環境が制限される海域や国境をまたぐ現場で、船上や作業現場のトラフィックを識別されにくいトンネル経由で送出。トンネル断時は経路構成そのもので遮断し、平文へは戻りません。

  • AmneziaWG カーネルモードトンネル、パケット特徴を調整可能(Jc / S1 / S2 / H1–H4)
  • Hysteria 2 と salamander 難読化の組み合わせは高遅延回線に適合
  • ネットワークモードをワンタッチ切替:直結/全 VPN/ホットスポット/ルーター
  • fail-closed は経路構成で担保し、ファイアウォール規則だけに頼りません
カーネルモードトンネル 15 Mbps(ユーザーモード実装は 8.4 Mbps)
トンネル断時の実測 パケット漏洩ゼロ

現場運用ターミナル

HDMI / Web

モニターをつなぐだけでダッシュボードになり、ノート PC は不要。作業が必要なときはスマホのブラウザから完全なターミナルが使えるので、シリアルケーブルを探す必要もありません。

  • 起動後そのまま全画面メーターへ。ログインもマウス操作も不要
  • モニターに出すページはスマホのサイドメニューから遠隔で切替
  • Web ターミナルは複数タブに対応し、それぞれ独立
  • USB LAN アダプタを挿すだけでアドレス取得と優先度調整を自動実行
画面出力 1280 × 720 @ 60 Hz · GPU アクセラレーション合成
パネル自体は サードパーティ依存ゼロ、Python 標準ライブラリのみ

Instrumentation

メーターの設計方針

メーターはベクターで描画し、フロントエンドフレームワークを使いません。そのため低消費電力プロセッサでも滑らかに更新します。 設計の方向性は「数値を覚えなくても判読できる」—— 情報は形と色に符号化されています。

0 1.5k 3k 1950 rpm カラーバンド 警報しきい値を文字盤に描画、数値の記憶不要 目盛り数字 レンジ表示、指針位置から値を推定できる ピーク記憶 この間に記録した最高値 指針と値弧 色はしきい値に応じて自動変化 トレンドライン 直近およそ 1 分の推移方向 中央読値 等幅数字で桁がずれない
メーター構造の説明図(実機のスクリーンショットではありません)。実際の画面はシーンに応じて 8〜11 個のメーターを表示し、主メーターは 2 倍の面積を占めます。
82 正常 · 緑 98 注意 · 黄 109 危険 · 赤・脈動
同じ冷却水温メーターの 3 状態。危険時はメーター全体がゆっくり脈動し、視界の端でも気づけます。

カラーバンド

警報しきい値を文字盤の外周に直接描きます。「油圧 150 未満は危険」と覚えておく必要はなく、指針がイエローゾーンに入れば分かります。向きは項目の意味に応じて自動調整:油圧のレッドゾーンは低い側、冷却水温のレッドゾーンは高い側です。

ピーク記憶

文字盤上の細い線が、この間に記録した最高値を示します。エンジン回転数がどこまで上がったか、水温の最高値はどこか —— 後から振り返るときに有用で、実機のエンジン計器では標準的な機能です。

トレンドライン

主メーターの下に直近およそ 1 分の推移を描きます。見るのは方向性:回転数が上昇中か安定しているか、水温が上がり続けていないか。瞬間値だけより状況をつかめます。

主従を明確に

各シーンの第 1 項目が主メーターで、面積は 2 倍。船舶は船速、重機はエンジン回転数、農機は PTO 回転数 —— ひと目で「まず見るべき値」に視線が向きます。

角度はコンパスで

針路と船首方位に円弧メーターは使いません。0° と 360° は同じ方向なので、円弧の指針は真北で一瞬始点へ戻り、故障のように見えます。コンパスなら一周が連続します。

レンジはシーンに合わせて

バッテリーは船舶で 10〜15 V(12 V 系)、重機で 20〜30 V(24 V 系)。同じレンジを共用すると指針が端に張り付いたままになり、情報量がゼロになります。

Data Path

信号が画面になるまで

解析は本体内で完結し、クラウドを往復しません。解析済みのデータは同時に 3 つの宛先へ供給されます: 本体メーター、Signal K エコシステム、そして必要なときだけ有効にする遠隔転送です。

信号源 CAN バス J1939 · NMEA 2000 GPS 受信機 NMEA 0183 · 9600 4G / WiFi / 有線 アップリンク 解析コア PGN デコーダ SocketCAN 生読み取り 単位換算 · 有効性判定 15 秒で失効扱い 出力 本体メーター HDMI 全画面 · スマホ閲覧 Signal K(任意) KIP · 海図 · 外部アプリ 暗号化トンネル 遠隔モニタリング(任意)
Signal K について:Signal K は海事分野の標準データモデルで、ネイティブには NMEA 2000 のみに対応します。 本体はブリッジ層を追加し、解析済みの J1939 データを SI 単位へ換算して投入します (エンジン回転数 → Hz、温度 → K、圧力 → Pa)。したがって重機と農機のデータも Signal K エコシステムに入り、 KIP・海図・サードパーティアプリから利用できます。 ただし本体で最も資源を消費するサービスであり、既定では起動時に立ち上げず、必要なときにパネルから有効化します。

Specification

ハードウェアとインターフェース

項目仕様備考
プロセッサi.MX6Q · 4 コア · 792 MHzARM Cortex-A9
メモリ1 GB通常使用で約 25 %
ストレージ3.6 GB eMMCシステムイメージ約 2.2 GB
CAN1 ポート250/500 kbit/s、ループバック自己診断対応
GPS独立シリアルポートNMEA 0183 · 9600 8N1
映像出力HDMI 720p60GPU アクセラレーション合成
無線WiFi + Bluetoothアンテナ 1 本を共用
拡張USB · mPCIeNIC や 4G モジュールを追加可能

リソースと放熱

筐体は密閉金属で自然放熱のため、各サービスのコストを明示しておくことが重要です。以下は実測値 —— 差は主に Signal K を有効にするかどうかで生じます。

構成負荷平均筐体温度説明
本体メーター(既定)1.369.7 °CCAN 解析 + メーター + HDMI 出力
Signal K 有効時2.978.3 °CKIP/海図を使うときのみ必要
サーマルスロットリング開始温度—95 °Cコアが自動的に減速を開始
保護シャットダウン—100 °C—

機能ステータス

機能状態説明
J1939 エンジンパラメータ解析検証済ループバック試験で換算値を項目ごとに照合
NMEA 2000 航行パラメータ検証済同上
PTO 回転数と油温検証済PGN 65091、J1939-71 準拠
車輪速/対地速/スリップ実機照合待ちISO 11783-7、バイト配置は実機で確認が必要
本体メーターと文字盤検証済カラーバンド・ピーク・トレンド・自動レイアウトを含む
J1939 → Signal K ブリッジ検証済11 項目、SI 単位換算が正しい
暗号化トンネル検証済ハンドシェイク成功、出口アドレスの変化を確認
画面出力と遠隔切替検証済起動時に自動でメーター表示へ
実バスへの接続現場待ち現時点ではループバックと擬似フレームで検証
ホットスポット/ルーターモード機材待ちAP 対応の外付け NIC が必要
検証方法について:現在の数値はループバックモードと仕様に沿った擬似フレームで検証したものです。 これは「解析チェーンが正しく、単位換算に誤りがない」ことを示しますが、 すべての機種でバイト位置が正しいことを意味しません。 「実機照合待ち」と記した項目は ISO 11783-7 に規格が定義されており、実機接続時に優先して照合すべき項目です。

Ready

信号は現場にある。答えも現場にある。

1 台でテレメトリ・表示・外部接続を担います。解析は現場に留め、メーターは回線に依存せず、 遠隔が必要なときだけトンネルを開く —— 「設備が何をしているか分かる」を、クラウド抜きで実現します。

  • J1939 解析
  • NMEA 2000 解析
  • ISOBUS PTO
  • 本体メーター
  • Signal K ブリッジ
  • DPI 対策トンネル

FAQ

よくあるご質問

CAN バスのデータ取得やエンジンモニタリングについて、よくいただく質問をまとめました。

J1939 や NMEA 2000 のデコードは何項目に対応していますか?

J1939・NMEA 2000・ISOBUS PTO を合わせて 27 項目を解析します。エンジン回転数、冷却水温、油圧、過給圧、対地速力、水深、バッテリー電圧などで、換算値はループバック試験で項目ごとに照合済みです。

漁船や作業船のエンジン監視に使えますか?

NMEA 2000 幹線につなぐ構成で、主機回転数・対地速力・船首方位・水深・バッテリー電圧を 1 画面に集約する設計です。水深警報は設定値を下回るとメーター全体が赤く変わるため、視界の端でも気づけます。

建設機械の稼働時間や燃費の管理はできますか?

J1939 からエンジン積算稼働時間・瞬間燃費・冷却水温・油圧などを取得し、本体メーターに表示します。稼働時間は保守スケジュールの根拠になり、車両群管理や予防保全の第一歩として使えます。

トラクタの PTO 回転数はモニタリングできますか?

できます。PGN 65091(J1939-71 準拠)で PTO 回転数と油温を解析し、PTO 信号を検出すると自動で農機レイアウトに切り替わります。なお車輪速・対地速力・スリップ率の項目は実機照合待ちです。

クラウドや月額サービスの契約は必要ですか?

不要です。解析・表示・記録はすべて本体内で完結し、回線が切れてもメーターは動き続けます。遠隔モニタリングが必要なときだけ、暗号化トンネルを任意で有効にする方式です。

Signal K には対応していますか?

対応します。Signal K はネイティブでは NMEA 2000 のみを扱いますが、本体が J1939 データを SI 単位に換算して投入するため、重機・農機のデータも入ります(11 項目検証済み)。リソース消費が大きいため、既定では起動しません。